水の備蓄にプラスワン!備えて安心、防災用携帯浄水器の選び方
共有
1. 備蓄した水だけで本当に大丈夫?
災害時に直面する大きな課題の一つが、飲料水の確保です。地震が発生すると水道管が損傷したり、停電でポンプが停止して屋上の貯水槽や上層階への水供給が止まったりするため、水が全く出なくなることがあります。
そのため、国や自治体は1人1日あたり3リットルを基準に、最低3日分の飲料水を各家庭で備蓄するよう呼びかけています。しかし、ここには2つの課題があります。
課題1:必要な量が多すぎる
3日分であっても1人につき9リットルの備えが必要です。家族の人数が多ければ備蓄量も増え、4人家族では36リットル(2リットルのペットボトルで18本分)にもなります。国や自治体は「可能であれば7日分の備蓄を」と推奨しており、非常食などと合わせると備蓄スペースの確保が課題になる場合もあります。
課題2:断水が長引く可能性
南海トラフ地震による断水では、最大で3千4百万人が被災直後に影響を受けると想定されています。東海地方から九州地方まで広く地震や津波の被害が出るため、水道の復旧には最大で8週間かかる地域もあり、3日分や7日分の飲料水だけでは足りない事態も考えられます。
これらの理由から、飲み水の備蓄に加えて現在注目されている選択肢の一つが携帯浄水器です。
携帯浄水器を準備しておくメリット
携帯浄水器とは、そのままでは飲用に適さない水を特殊なフィルターを通して濾過することによって飲めるようにするアイテムです。
携帯浄水器の大きさは手のひらサイズからリュックサックや非常持ち出し袋に入る大きさです。このため、備蓄品の一つとして加えておいても場所を取らず、飲料水が不足する懸念に対応できるというメリットがあります。
2. 携帯浄水器の仕組み
携帯浄水器には、細菌やウイルスなどの大きさよりもさらに細かいフィルターがセットされており、電気の力や人の力で水を通すことで、有害な細菌などを除去する仕組みです。
よく「山の生水はお腹を壊すので飲むな」と言われますが、これは生水がいくら綺麗に見えても微生物や雑菌が含まれていることがあるためです。携帯浄水器を使えば、これらを取り除いて安全な飲み水に変えられるため、キャンプや登山などで広く活用されています。
このように、携帯浄水器があれば、いつでもどこでも飲用に適した清潔で安全な水を確保できるという大きな利点があります。
携帯浄水器の種類と選び方
携帯浄水器には、電動式、ボトル式、ストロー式のものが市販されています。簡単にそれぞれの違いをまとめると次のようになります。
○電動式 フィルターによる水の浄化を電動で行うもの。ボトル式やストロー式に比べると浄水作業に手間がかからず、一度に大量の水を濾過することができる。女性や子ども、高齢の方でも操作が簡単。 ○ストロー式 軽量でコンパクトなタイプ。水源から水を直接吸ったり、ペットボトルの口に取り付けたりして利用できる。 ○ボトル式 水を溜めておくボトル部分の口にフィルターを取り付けたもの。別のボトルを用意しなくても濾過するための水が持ち運べ、必要な時に安全な水をすぐに飲むことができる。 |
電動式のメリットは何といっても浄水工程の楽さにあります。一方、ボトル式やストロー式の価格は数千円からと電動式よりも求めやすい価格となっています。
このため、より簡単に大量の水を浄水できる高性能の携帯浄水器をお求めであれば電動式を、シンプルな携帯浄水器をお探しの場合はボトル式かストロー式を選ぶと良いでしょう。
3. 電動式の携帯浄水器の例
浄水作業を電動で行うタイプの携帯浄水器です。電動の力を使うことで、高性能な浄水方法を実現しています。フル充電で濾過できる水の量は上位モデルの方が多く、さらに停電時の発電機能も備えています。
Greeshow 携帯浄水器 GS-2801
重さは350g(リンゴ約1個分)と軽量ながら、5段階の浄水方法(中空糸膜フィルター、KDFフィルター、活性炭フィルター、レベルPPコットン、0.01ミクロン中空糸膜フィルター)を採用しています。ボタンを押すだけで粒子や赤サビ、大腸菌、コレラ菌といった雑菌、不純物(PFASや沈殿物など)を99.99999%除去します。内蔵リチウム電池(2,800mAh)もパワフルで、フル充電で連続使用可能時間は約180分、合計120リットル以上の水の濾過が可能です。バッテリーが切れてもモバイルバッテリーで充電ができ、停電や夜間に便利なLEDライトも搭載されています。なお、販売価格は11,980円です。
Greeshow 携帯浄水器 GS-2811
電動式携帯浄水器の上位モデルです。大きさ(9.5cm×7cm×16cm)、重さ450gというコンパクトな設計でありながら、先に紹介したGS-2801と同様に、5段階の浄水方法を採用しています。不純物を99.99999%除去する性能はそのままに、さらにパワフルなリチウム電池(3,000mAh)を内蔵。最大5時間の連続使用で、230リットル以上の水の濾過が可能です。この機種には手回し発電やソーラーパネルの機能も搭載されており、停電時でも浄水が可能です。さらに、USB双方向充電器機能もついており、USB Type-C経由でモバイルバッテリーから充電するだけではなく、余った電力を利用してスマートフォンなどの充電もできます。また、LEDライトも組み込まれており、停電時や夜間の取水作業にも便利な設計です。販売価格は25,980円、フィルターは前述のGS-2801と併用で3,190円となります。
4. ストロー式の携帯浄水器の例
水源から水を直接吸ったり、ペットボトルの口に取り付けたりして利用するタイプの携帯浄水器です。商品によって浄化可能な水の量やメンテナンスの方法が異なってきます。
Greeshow 携帯浄水器 GS-288
こちらも手のひらサイズ(3.2cm×17.6cm×3.5cm)、重さ62gでとてもコンパクトな設計です。中空糸膜フィルターが粒子、赤サビ、大腸菌、コレラ菌などを99.9999%除去し、約8,000リットル分の浄水が可能です。フィルターのメンテナンスには注射器などの特別な道具は必要なく、浄水した水を逆流させるだけで完了します。価格は3,880円と求めやすく、性能と価格のバランスが取れた携帯浄水器です。
SAKUTTO 携帯浄水器
手のひらサイズ(3.5cm×14cm×3.5cm)で重さ50gと軽量で、携帯性に優れています。細菌や原虫嚢子などを99.99999%除去し、フィルター交換不要で5,000リットルの水を浄化可能です。メンテナンスは付属の注射器で浄水した水を逆流させる方法が採用されています。参考価格は4,980円です。
5. ボトル式の携帯浄水器の例
水を溜めておくボトル部分の口にフィルターを取り付けたタイプの携帯浄水器です。商品によって本体価格や交換フィルターの費用、浄化能力の違いがあります。
Greeshow 携帯浄水器 GS-286
こちらも折りたたみ式ボトルで、交換可能なフィルターを採用しています。大腸菌などの細菌や沈殿物を99.9999%除去する性能を持ち、さらに重金属やプラスチック粒子などの水に溶けない物質も取り除く設計です。フィルター1本で約200リットル浄水可能で、家族4人分の水であれば半月分以上確保することができます。本体価格は3,980円、交換フィルター1本は1,480円と手頃です。
KATADYN BeFree
折りたたみ式ボトルに高性能フィルターを備えたモデルです。0.1ミクロンのホロファイバーフィルターが水に含まれる微生物を99.9%、バクテリアを99.9999%除去します。浄化能力は約1,000リットルと大容量ですが、本体価格や交換フィルター代がそれぞれ8,000円前後とやや高めです。
6. まとめ
災害時に欠かせない「水」の備え。携帯浄水器は、多機能で頼りになるものからシンプルなものまでさまざまな選択肢があります。いざというときのために、備えのひとつとしてぜひ検討してみてください。